こんにちは。多和田書道教室です。
今日の名古屋は朝から雨で、そろそろ梅雨入りかな?と思いながら
生徒さん向けのお手本を書いています。
写真の書は、競書テキスト「書の美」6月号の漢字
(楷書)の課題を書いたものです。
☆ 毛筆漢字(楷書)
蛍光列宿(蛍光(けいこう)宿(しゅく)に列す)
・蛍の光が星のように並ぶ
毛筆で文字を書く際、
・線を書き始める時(始筆時)の穂先の角度や位置、隣り合う点画との接し方
・線を書き進める(送筆)方向
・線を書き終わる時(終筆時)の穂先の角度や位置
このような「細部のつくり」が実は、
その文字の雰囲気やバランスを生み出す重要な役割を担っている場合が多くあります。
今回の課題では以下の1)〜4)の箇所がそうです。
1)「蛍」の虫:縦部(1、2画目)の方向
⇒ 若干内側に向けることで左右の余白が
広がり明るくなる。
2)「光」の最終画:左払いと右曲がりの始筆。 4画目との接し方
⇒ 始筆は4画目の下に浅く接する。
それにより最も線が交わる中央に隙間が
でき風通しが良くなる。
3)「列」の2画目3画目の方向
⇒ 上下に並ぶ払いの方向を同じに
することで落ち着きが出る。
4)「宿」の百:3、4画目の終筆の位置
⇒ 3画目を4画目より若干短くすることで、
文字の下部に隙間ができ風通しが
良くなる。
このような細部の書き方が甘いと、
余白や余裕が足らない為どこかすっきりしない、落ち着かない、アンバランスな文字になってしまいます。
(下の画像参照)
書道経験がまだまだ浅かった頃は、
「そんなの、小さなことでは?」
と思うこともありましたが、
経験を積んでいく過程で、
「細部が甘いとこれほどまでに印象が変わるのか!」と何度も実感したのと同時に、
書道の奥深さと難しさも感じてきました。
書道芸術は、墨の「黒」と紙の「白」の2色のみで表現する為、文字や作品全体に動きや情感を創り出すには、実はものすごく細かな工夫が必要なのです。
...少々堅い話になってしまいましたが、、、
ご縁があり当教室に入会してくださった生徒さんには、
こうして「文字の細部を見つめる大切さ」を
お稽古の中でしっかりとお伝えしていけたらと思っております。
生徒さんにとっては、はじめはピンとこないことも多いと思いますが、
学びの経験が増えてきた頃に、自力で細部の仕組みに気づけた時、
そこからさらに書道が面白くなってきます!
書道をはじめられた皆様には、
こういった書道の面白さと奥深さ、醍醐味を是非味わっていただきたいです。
今月もゆっくり、じっくり、楽しくお稽古していきましょう!